上智大学 死生学公開講座

2024(令和6)年度

講座名 『痛みとケアのスピリチュアリティ』

タイトル 講師 (敬称略)
第1講 グリーフケアと宗教とスピリチュアルペイン 島薗 進 上智大学 グリーフケア研究所 客員所員、
大正大学 客員教授、龍谷大学客員教授、
東京大学 名誉教授
第2講 伝統儀礼がもつグリーフケアの力 小川 有閑 浄土宗蓮宝寺 住職、
大正大学 地域構想研究所 主幹研究員、
上智大学 グリーフケア研究所 グリーフケア人材養成講座 非常勤講師
第3講 わたしとともに生きている人々(仮題) 野々目 月泉 日本臨床宗教師会 理事 同認定臨床宗教師
真宗大谷派寺院坊守 同京都教区湖東地区坊守会会長
第4講 高齢化や認知機能の低下した「人」のスピリチュアルペイン 佐藤 伸彦 ものがたりの街 代表理事、
ものがたり診療所 所長
第5講 大切な人との別れのあとに続く道のり 中井 珠惠 愛染橋病院 チャプレン、
上智大学 グリーフケア研究所 グリーフケア人材養成講座 非常勤講師、
京都文教大学大学院 臨床心理学科 非常勤講師
第6講 分かち合いの場をつくり保つ 葛西 賢太 上智大学大学院 実践宗教学研究科 教授、
同大学 グリーフケア研究所 所員

自ら死が近いことを知ることは、死への恐れやすべてを失う悲しみなど深い孤独に向き合うことでもある。また、肉親や親しい友との死別や別離、心身の重い病に見舞われることや大切にしていた多くのものの喪失も深い心の痛みを伴う。自分の生きている意味が感じられなくなり、希死念慮にとらえられ、嗜癖から抜け出せなくなるのも深い心の痛みを伴うものだ。こうした痛みはスピリチュアルペインとよばれる。グリーフケアやスピリチュアルケアは、こうしたスピリチュアルペインに向き合うものと言える。そこで大きな役割を果たすのがスピリチュアルケアであり、傾聴や寄り添いや分かち合い、また儀礼やアートを通して進められる。そこに現出するのが痛みとケアのスピリチュアリティだ。本年度の第5回 死生学公開講座では、以上に述べたようなテーマに取り組んでこられた方々からお話をうかがい、ともに考えていきたい。

形 態…オンデマンド形式 各開講日より公開(1日に2講座を公開)
主 催…上智大学 グリーフケア研究所
共 催…一般社団法人 全日本冠婚葬祭互助協会/一般財団法人 冠婚葬祭文化振興財団/互助会保証 株式会社

 

2023(令和5)年度

講座名 『死に向き合う文化を学ぶ―儀礼・アート・交わりとケアの力』

タイトル 講師 (敬称略)
第1講 死に向き合う文化の変容―新たな交わりとケアのあり方について― 島薗 進 上智大学 グリーフケア研究所 客員所員
大正大学 客員教授
東京大学 名誉教授
第2講 命の神秘に活かされる芸術と共同体 岡田 圭 専門チャプレン協会 退職認定チャプレン
コロンビア大学 死についてのセミナー準会員
国際スピリチュアルケア協会 会員
全国寡夫連合会 理事
第3講 死から生といのちを考える―看取った患者さんの言霊から教えて頂いた人生の生き方、逝き方 髙宮 有介 昭和大学 医学部医学教育学 客員教授
戸田中央メディカルケアグループ緩和医療 特別顧問
第4講 音楽死生学―パストラル・ハープの音色と歌声が織りなす看取りのケア キャロル・サック 米国福音ルーテル教会 宣教師
音楽死生学士
第5講 儀礼と記憶―モノとヒトとの交わり 粟津 賢太 上智大学 グリーフケア研究所 客員研究員
第6講 転生を共有した社会―現代ブータンにおける死と生― 西平 直 上智大学グリーフケア研究所 副所長
京都大学 名誉教授

かつて人々は共同体の儀礼を通して、死に向き合う文化に親しんでいた。ところが、近代化が進むにつれて、伝統的な儀礼やそれと結びついていた習俗への親しみが薄れていった。それにかわって、現代人は新たな形で、死に向き合う文化を形づくろうとしている。そこでは、宗教や儀礼等の伝統的文化資源を再構成したり、音楽や詩歌や物語、映像や造形芸術、身体技法などさまざまなアートが用いられたり、新たな形での交わりとケアが形づくられてきている。死生観についても家族や地域社会、あるいは宗教機関や学校を通してというより、映画やコミックなども含め、さまざまなアートや娯楽文化などを通して学んでいく傾向があるようだ。そうした現代社会において、死と直面する経験や死別の悲嘆に、また、孤独と孤立に苦しむ人々のために、どのような儀礼やアート、また交わりやケアが求められているのだろうか。この講座では、以上のような観点から、現代の死に向き合う文化についてともに考えていきたい。

形 態…オンデマンド(1・2講、3・4講、5・6講、各同日配信)
主 催…上智大学 グリーフケア研究所
共 催…一般社団法人 全日本冠婚葬祭互助協会/一般財団法人 冠婚葬祭文化振興財団/互助会保証 株式会社

 

2022(令和4)年度

講座名 『新たなケアの文化に向けて―孤独と悲嘆を受け止める文化の力と形』

タイトル 講師 (敬称略)
第1講 新たなケアの文化と礼儀とアート 島薗 進 上智大学 グリーフケア研究所 客員所員
大正大学 客員教授
東京大学 名誉教授
第2講 文学における孤独と死―ケアを通して考える 小川 公代 上智大学 外国語学部英語学科 教授
第3講 死を悼むためのかたち―慰霊・記念・追悼― 粟津 賢太 上智大学 グリーフケア研究所 客員研究員
グリーフケア人材養成講座 講師
第4講 つなぐ・つむぐ・つくるアートセラピー:癒えると癒す 伊東 留美 南山大学 人文学部心理人間学科 准教授
第5講 言葉を超えたケアの可能性―子どものグリーフケアから 尾本 美由紀 一般社団法人 The Egg Tree House 理事
第6講 世界に広がる歩く瞑想(ラビリンス) 山岡 三治 上智大学 グリーフケア研究所 所長
上智大学 名誉教授

現代はこれまでの地縁・血縁等によるケアにかわる、新たなケアの文化の形成の時代とも言える。とりわけ死や孤独に向き合う個人のケアが求められている。そこでは、宗教や儀礼等の伝統的文化資源とともに、新たな形の人々の集い、そしてアートが果たす役割が大きくなっている。詩歌、物語、うた、音楽、アニメ、まんが(コミック)、映画、絵本、造形芸術など―現代社会でこれらのアートは悲嘆を抱える人々を支える大きな働きを果たしている。孤独と孤立に苦しむ人々を支える新たなケアの文化が、どのように育ってきて、現在に至っているのだろうか。儀礼や集いやアートを通して現代のケアの文化の特徴が見えてくることも多い。この講座では、ケアの文化の過去と現在についてともに考えていきたい。

形 態…オンデマンド(1・2講、3・4講、5・6講、各同日配信)
主 催…上智大学 グリーフケア研究所
共 催…一般社団法人 全日本冠婚葬祭互助協会/一般財団法人 冠婚葬祭文化振興財団/互助会保証 株式会社

 

2021(令和3)年度

講座名 『死と悲嘆に向き合うアートと儀礼』

タイトル 講師 (敬称略)
第1講 悲しみを通して知る命の尊さ 島薗 進 上智大学 グリーフケア研究所 所長
東京大学 名誉教授
第2講 日常臨床で五感を澄ます―ナラティブ・メディスンとケア― 栗原 幸江 認定NPO法人 マギーズ東京 理事
がん・感染症センター都立駒込病院 緩和ケア科・公認心理師 心理療法士
第3講 追悼の儀礼―なぜ私たちは黙祷をするのか?― 粟津 賢太 上智大学 グリーフケア研究所 客員研究員
第4講 グリーフを包む音、ケアに寄りそう音―音楽とケア― 佐藤 壮広 山梨学院大学 特任准教授
第5講 歌の翼にのせて、ひとのこころを聴く 中山 ヒサ子 元 札幌大谷大学 芸術学部 教授
特非)和・ハーモニー音楽療法研究会 理事長
日本音楽療法学会 認定音楽療法士
第6講 アートを通した協働のいのり―阪神淡路大震災以後の活動事例をふまえて― 鎌田 東二 上智大学 グリーフケア研究所 特任教授
京都大学 名誉教授

死を前にした人間の辛さ、寂しさ、悲しさを和らげることができるのだろうか。できるとすれば、それはどのようにしてか。また、死にゆく人を看取り送る人、死別の悲嘆に落ち込む人はどのようにしてその辛さ、寂しさ、悲しさに耐えていくのだろうか。そうした人々に寄り添い、ケアをするにはどのようなしかたがあるのだろうか。かつては宗教や地縁血縁のケアが大きな役割を果たした。だが、現代社会では新たなアートが力となる機会が増えている。語り(ナラティブ)、音楽(うた)、さまざまなわざが死と悲嘆に向き合うことを助けてくれる。儀礼とアートがともに「悲しみの容れもの」としての働きをする。こうした儀礼とアートの働きについて歴史を振り返り、あるいは現代の実践に即してともに考えていきたい。

形 態…オンデマンド(1・2講、3・4講、5・6講、各同日配信)
主 催…上智大学 グリーフケア研究所
共 催…一般社団法人 全日本冠婚葬祭互助協会/一般財団法人 冠婚葬祭文化振興財団/互助会保証 株式会社

 

2019(令和元)年度 …(※)

講座名 『死に向き合うアートと儀礼』

タイトル 講師 (敬称略)
第1講 日本人の死の受け止め方 島薗 進 上智大学大学院 実践宗教学研究科 教授
上智大学 グリーフケア研究所 所長
日本臨床宗教師会 会長
東京大学 名誉教授
第2講 東日本大震災におけるグリーフケア―ケアアートとしての傾聴活動 金田 諦應 宮城県栗原市 通大寺 住職
一般社団法人 日本臨床宗教師会 副会長
第3講 死と美と祈り―アートとしての儀礼 若松 英輔 批評家・随筆家
東京工業大学 リベラルアーツ研究教育院 教授
第4講 ともに悲嘆を分かち合う集い 美谷島 邦子 国土交通省 公共交通事故被害者等支援懇談会 委員
精神保健福祉士
第5講 レクイエム、死者を見送るキリスト教的祈りと音楽 森 裕子 上智大学 神学部 教授
第6講 儀礼と芸術・芸能との関わり 鎌田 東二 上智大学 グリーフケア研究所 特任教授
京都大学 名誉教授

死別の悲しみは深くつらい。他者にはなかなか話せないし、共感してくれる人もなかなかいない。だが、悲しみをともに分け持ってくれる場や所作はあった。伝統的には儀礼が大きな力となった。通夜や葬儀、入棺や出棺、墓参りやグリーフケアへの関心が高まっている。かつてはグリーフケアというような言葉は使われなかった。グリーフケアが果たす役割をかわりに果たしていたのは儀礼である。儀礼のなかで涙を流す場がかつては豊富にあった。それが癒しにも、弔いの心の熟成(喪の仕事)にも繋がった。
現代社会では死に向き合う儀礼、また、悲しみを分かち合う儀礼の働きが見失われがちだ。死に向き合う儀礼の働きを、また、生老病死に関わるさまざまな儀礼の働きを見直してみる必要がある。
また、儀礼のなかにも織り込まれていたアートの力に注目する。現代社会では儀礼の枠の外でのアートがますます大きな力を発揮するようになっている。音楽、美術、詩歌、物語が死に向き合うとき、また、悲しみを受け止めていくとき、どのように作用するのかについても考えていきたい。

形 態…オンライン+オンデマンド(1・2講、3・4講、5・6講、各同日配信)
主 催…上智大学大学院 実践宗教学研究科
共 催…上智大学 グリーフケア研究所
後 援…一般社団法人 全日本冠婚葬祭互助協会/一般財団法人 冠婚葬祭文化振興財団/互助会保証 株式会社

 

(※)…注)年度は、冠婚葬祭文化振興財団の事業年度(6月1日~翌年5月31日)を表す。