〇テーマ:
「南相馬市復興公営住宅における、高齢住民による自主サロンへの支援―ストレスケアと孤立予防の活動」
〇実施内容:
福島県南相馬市北原復興公営住宅集会室にて、団地住民サークル「にこにこサロン」のメンバーと共に、2020年6月から2021年3月まで月1回のサロン活動や専門性の高い外部講師によるストレスケアを体験する機会の提供を行った。また、南相馬市南町復興公営住宅では、集会室改修終了後、NPO法人相馬広域こころのケアセンターなごみと共働して、2回のサロン活動を行った。サロン活動の中で住民から、東日本大震災のときのことを語りたいという声が上がり、お互いの話を聞き合う活動を行い、こころのケアにつながった。
〇事業の効果:
サロンは2020年3月から6月まで休会であった。緊急事態宣言等によって2021年1月と2021年5月の活動は中止とした。コロナ禍の下で、住民同士の交流も減り、様々な団体からの支援も減少している中で、住民の自主活動としてサロンに集うことができたことは、住民のストレス対処となり、フレイル予防の効果もみられ、心身の健康作りに寄与できたと考える。
高齢住民が多く住まう復興住宅では、東日本大震災発災の日より10年という月日が経過し、高齢化と心身の弱まりは避けては通れない課題である。住民の声として「休会中にサロン参加者が1名(持病で)亡くなられたが、皆さんにお知らせする方法もなく、(帰還困難地域に墓地があるため)お墓参りもできず心がいたんでいた。サロンの再開がうれしい。ようやく皆さんでお弔いができる。」等があり、このように、各自が個別に向き合うばかりでなく、サロンに集う仲間として向き合うことができ孤立予防となった。
ちょうど震災発災から10年となる年であったことから、マスコミ報道も多く、住民の中から「あのときのことを語りたい」と声が上がった。数回に分けて小グループで原発事故から避難したときの体験や思いを聞き合うことができた。聞き取りした内容と活動のまとめを冊子として発行する予定であったが、再々度の緊急事態宣言によって、聞き取り等の活動が中断している。活動再開ができれば、事業を続けたい。
ようやく団地自治会ができ、会長にはサロンの参加者であった女性が就任した。「にこにこサロン」は発展的に解消し、今後は団地自治会への支援として、サロン活動を継続することとなった。